こころの気圧配置図

甲府市北部を起点にしたサイクリングコースを提案しています。その他、日常のこと、園芸のことなど、右下の「カテゴリー」からどうぞ。

たまには外食でも

今日は妻の誕生日。すずめの涙ほどではあるが、ボーナスも出たのでたまには外食へと誘った。誕生日くらいはとびっきりのものを食べさせてあげたい。
そう思った僕は、妻を助手席に乗せ“違いの分かる人”に愛される店に連れて行くことにした。妻には着くまで秘密にしておこう。助手席で無邪気に期待に胸を膨らませている妻はまるで付き合っていた頃の雰囲気さえした。しばしママ業を忘れるのも良いだろう。

やがて『松屋』のカンバンが見えてきた。ここは牛丼で有名だがそれにもましてカレーが本格的。しかもいま期間限定で、13種類のスパイスを調合した辛口「スープカレー」を出している。見逃すわけにはいかない。
感動か緊張か急に無口になった妻。食券販売機の前で好きな物を選ぶよう勧めたがなかなかボタンを押そうとしないので、『これが良いよ』と勝手に「ヘルシーチキンカレー」を押してあげた。本格的で量が多いのに290円というコストパフォーマンスを実現した一品である。初めての人にはこれがお勧めだ。
僕はスープカレー(ライス・ナン・ミニ生野菜・冷たいコーンスープ付)590円にした。

品物が出てくるまでの間、『ここは吉野家よりも好きなんだ』『ここにいる客は皆違いがわかる客さ』と話を切り出したが全く反応がなかった。雰囲気にのまれているのだろう。無理もない久しぶりの外食だ。

料理はすぐに出てきた。妻の器が1枚に対して僕の器は3枚と多く、いささか気まずかったが、カレーを一口食べてもらえばここに連れてきた意味を感じ取ってもらえるはずだ。
…ところが半分も食べないうちに妻のスプーンの動きが止まった。まさか、口に合わなかったのか?

『これ、カラい』

妻が店に入って始めて口を開いたことに驚いたが、カレーの味の批判にも取れるその発言に2度驚いた。『カレーが辛いのは当たり前だろう、お前は子供か!?』
スプーンをおいた妻はそれ以降しゃべることはなかった。

きっと妻にここのカレーは本格的過ぎたのだ。
滅多に行けない一流のすし屋に家族を連れて行くと、初めて入った子供が開口一番『お父さんここの寿司廻っていないよ』と言ってしまう笑い話がある。
妻もふだん“日本人向けにアレンジされたカレー”しか食べた事がなかったのだ。だから本格カレーを口にして違和感を感じてしまったのだろう。

もったいないので妻の分も僕がたいらげた。スープカレーも美味いが、ヘルシーチキンカレーもいつ食べても美味い。もう腹いっぱいだ。
帰りの車も終始無言で、夜になっても口を開こうとしない。きっと辛さで喉を痛めたのだろう。
やはり牛丼から勧めるべきだったか。こうして日記に記録して来年は気をつけることにしよう。