需要は無いと思うが、KENWOOD HF/50MHz アマチュア無線機 TS-690の局発をTCXO化したので記事にしてみる。
TS-690 TCXO純正オプションの「SO-2」があれば苦労しないのだが、既に製造中止。中古も高値がついている。
互換品もあると言うがこちらも同様に枯渇。
替わりに市場品TCXOを乗せようとすると大きさもピン配置も異なり(SO-2の1/2)どう載せようか考えてしまう。
ちなみに今回手配したTCXOはAliExpressで1300円だった。送料足しても1800円。本当にTCXOなのか?怪しさはぬぐえない(笑)
20MHzの信号は波形品質維持のためすぐ基板に落とし込みたいので、発振器の3Pinを基準にしたい。3Pin(20MHz)を基板の20MHz入力に合わせると…
発振器 基板
1Pin(NC) GND
2Pin(GND) 5V
3Pin(20MHz) 20MHz
4Pin(5V) なし
という組み合わせになる。
下の絵をご覧になってお気づきだと思うが、まずぶち当たる問題が、設置するTCXO(4本足)に対し、基板の方に穴が3ヶ所(5ヶ所だが大きさが小さいので実質3ヶ所)しかない。そのままでは置けない。
1Pin(NC)が穴のない位置に当たれば足を切っちゃえばそれで済むのだがそう上手いこと行かない。
上記の「20MHz合わせ」だと、発振器の4Pin(5V)がその穴のない位置に当たってしまう。
そこで、まず4Pinが貫通するよう基板にドリルで穴をあけ発振器が実装できるようにした。
注意しなければならないのが、穴の周囲がアースパターンになっていることだ。
なので大きめに穴をあけ(と言っても1mm)発振器のリードに被覆を付け周囲のGNDパターンと絶縁することにした。
つぎに発振器の2Pin(GND)に5Vが来ている為、これをパターンカット。
カットした箇所のチップコンデンサから、さきほど被覆した発振器の4Pinにジャンパーを飛ばし5Vを供給。
最後に、カットにより浮いた2PinをGNDにジャンパーする。僕は1Pin(NC)の所から取った。
赤破線囲い:TCXOの位置(反対側部品面)
赤まる:ドリルで穴を開ける。発振器の足は周囲のGNDパターンと接触しないように被覆をかぶせてある。
赤縦線:この線の箇所をパターンカットし2Pin(GND)と基板の+5Vを断つ。
青矢印右:1Pin-2Pinつなげ2PinをGNDに落とす。
青矢印左:カットした個所のチップコンデンサから4Pinにつなげ発振器に5Vを供給する。
部品面からみるとこんな位置関係。
組みなおし、恐る恐る電源を入れる。
周波数が表示された!どうやら中華製TCXO、認識されたみたいだ!ハワイの標準電波を受信している。
今回は加工も面倒だったが、スピーカ、VCO基板、そしてシールドケースの下に位置するPLL基板に行きつくまでが大変だった。
外したネジ、シールドコード、フラットケーブル、コネクタジャンパーの数がとても多く、元に戻せるかそちらも心配だった。
たとえ純正オプション「SO-2」が手に入ったとしても難易度の高い改造には違いない。
ネジが余らなくてよかった…
これで、周波数が安定したのかというと、もともとそんなに不満を感じていなかったので実感は得られない。気分的な問題である(笑)